16 ちょっとした糸巻きの話

今回は楽器の糸巻についてちょっとこだわってみましょう。
よく糸巻は「楽器の部品」という話を聞かれると思います。
そのとおりなんですが、その部品が楽器に及ぼす影響は決して馬鹿にできないんです。
とは言うものの糸巻が弦に反応して音を出す訳では有りませんし、糸巻を変えるだけで10万円の楽器が100万円の楽器に変身する様な事も有りません。(残念でした)

ではどういう事かと言いますと、チューニングの際に影響があるのと、弦のバランスに影響を及ぼすのです。
チューニングの時に糸巻のペグ(つまみ部分)の回り具合や硬さを一度見て下さい。回りやすい個所や、硬くて回りにくい部分があるかもしれません。これは弦の太さによる張力の違いも有るのですが、糸巻自身の問題も有りますね。つまりペグとギア(歯車)の部分のかみ合わせが悪かったり、十分な油分が無かったりすると歪な回り方をしてしまうんです。それと弦の巻き方にも注意して下さい。ただ闇雲にぐるぐる巻きにすれば良いと言うものでは有りません。
ちゃんと巻いているのに貴方の糸巻が硬い時には、まずはペグとギアの接触点に油(椿油が良い)を注して見て下さい。そうするとスムーズに回ると思います。糸巻がスムーズに回ると言うのは単に調弦がしやすくなると言うだけではなく、微妙な音の狂いにも対応しやすくなるのです。やはり合奏するのに音が狂っていては集中できませんからね。

そこで私から一つ申し上げたい事が有るのですが、もし現在より性能の良い糸巻が有ってそれに取り替えたらどうでしょうかと言う事です。性能が良いと言うのはスムーズにペグが回り、弦による斑がより少ないものです。そうすると弦の張り斑が無くなり、雑音(ウルフトーンとも言います)や、ある弦だけ張力が弱くなる(マンドリンの場合はA線に多い)と言う事が大変少なくなります。この様な効果が出る事が結構ありますので一度試してみると良いでしょう。そうすると各弦のバランスがとても良くなりますし、きちっと弦が張っていると言う事が実感できると思います。

但し、これだけで楽器の音質まで変えてしまう事は出来ません。(あしからず)やはり弦のバランスの取れた楽器の音は大変良いものです。これらの事を考えても、たとえ糸巻でも注意して見る必要が有る訳ですね。
たかが糸巻、されど糸巻。